クロスケのブログ

この人の彼女って苦労しそう

2017-03

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山下洋輔『ドバラダ門』

◆著者の山下洋輔は
著名なジャズピアニストである

自分は、音楽はまったくわからない人なのだけど
筒井康隆がエッセイの中でとても褒めていたのと
タイトルがやけに印象に残っていて
今回、ついに手にとりました

大当たりでした
壮絶に面白い

山下氏の祖父にあたる山下啓次郎が
明治時代に、明治政府の命を受けて
鹿児島刑務所の正門を作ったらしいぞ、ということを作者が知り
「なんでまたよりによって監獄の門なんか作ったんだ」と
調べていくおはなし
しかもそれは、明治時代には極めて異質な西洋式の石造りになっていて
それがまた話をこみいらせていく

ドキュメンタリーと小説とエッセイのチャンポンみたいなものです

家計図や年表や資料をたどるうちに
国の歴史との関連がイモヅル式に明らかになっていく
黒船来航、明治維新、西郷隆盛、私学校、ポリス、戊辰戦争との関わり
また、親戚筋を廻りながら調査していく過程で
曽祖父が西郷隆盛や川路利良と懇意だったらしいとか
母方のいとこの娘が天皇家に嫁いだらしいとか
祖父の長男が家で座敷牢につながれていたとか
祖母の超能力事件だとか
面白い話が山のように出てくる

清水義範『みんな家族』という作品があって
これも、清水氏が自らの家系の物語をたどっていくというものだけど
普通の家というのは、どうも、面白い話がゴロゴロしているものらしい
従兄弟や曽祖父レベルまでしらみつぶしにたどっていけば
著名人や歴史的事件との関連や
非科学的なけったいなエピソードがいろいろ出てくるようだ
確率的にはなんの不思議もないんだろうな
おれもやってみたいぞ

そういえば、おれの親父は
小学生時代、あの天野喜孝と同級生だったそうです
当時からもうれつに絵がうまかったんだとか

まあこんな具合ですね


◆本業がピアニストの山下洋輔氏
エッセイはいくつかあっても、小説はこれだけらしい
ものすごく面白いだけにとても残念

山下洋輔が作家の筒井康隆と交友関係にあるのは有名だけど
そのせいか、筒井康隆の文体の影響が濃いように思える
おれの大好きな雰囲気だ

文章のテンポがよく、勢いがあって一気に読めるし
あちこちで阿呆なギャグがこれでもかとばかりに挿入されて
いかにも八十年代的な、いいからどんどんやっちまえ的熱情を感じる

「しゃばどびうびしゃばどび」「じじい表に出ろ」「山下清」「サックマイアスサノバビッチ」「おれは土下座のまま土中にもぐった」「ヘミングウェェェェェェイ」「両手を上に上げてからまた鍵盤の上に叩き降ろすのをやめなさい。そういう行為をすぐにやめなさい」「イエイ、ジェイルハウスロック」

最高
当時の時代を象徴するキーワードもいろいろ混じっていて
そういう意味でもとてもおもしろいです

現在と過去のふたつの時間軸がからみあい錯綜して
しかも当たり前のような顔をして互いに干渉し合うという
わやくちゃでメタフィクショナルな構成は
やはり筒井康隆の『邪眼鳥』や『虚人たち』といった
実験的作品の数々を思わせる

専門的作家ではないだけに
ちょっと展開が荒いかなとか、不親切に思えるところも感じたけど
むしろ、一本かぎりのこの小説の中に
「やりたいこと全部ぶちこんじまえ」とばかりに
ギャグやらこぼれ話やら音楽やら時代スケッチやら
いろんな要素が欲張りにこれでもかと凝縮されていて
おれとしては、横道にそれまくるあわただしさがすごく楽しかった

井上ひさしや司馬遼太郎みたいに
途中でよもやま話で横道にそれまくるつくりは
息抜きになって、好きなんです、おれ

とはいえ、きちんとドキュメンタリーとして骨太な作りをしていて
そこまで調べるのかーと思うような、じつに濃い歴史物になってる
とある普通の一家の、ひとりの建築家にフォーカスを合わせた結果
明治から現代までのこの国というものを
ひとつの(わりに身勝手な)側面から俯瞰することができて
じつに楽しい体験でありました

音楽家山下洋輔ならではのクライマックスは素晴らしかったー
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コメント

プレイヤーではないにしろ音に携わる道に進もうとしている自分には、
むしろクロスケさんの音楽観が個人的に気になります。
難聴を生まれ持つクロスケさんにとって、音楽とはどういうものなのか、
一度じっくり語ってもらいたいかも。

自分の音楽観ですか
なるほど、音楽を聴かない立場として
かなり特殊な音楽観が形成されていそうです

音楽に対して、とても憧れがあります
むしろ聴けないせいで、音楽への幻想が
むやみにふくれあがっている気も
もし聴けるとしたら
クラシックやジャズに傾倒してるような気がします
あ、あと演歌

今のところはとっかかりが思いつきませんが
いずれ語る機会もあるかもしれませんです

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